人類博物館-Musée de l'Homme(フランス・パリ)
- koukobiyori
- 5 日前
- 読了時間: 8分
パリ・ミュージアム巡りの4日目。
とうとう来ました!私の大本命!人類博物館ですっ!!!
本当は今回の視察で国立考古学博物館に行きたかったんです。でもパリから1時間くらいの郊外にあるため、行っちゃダメと言われ…。デザイナーの同僚はサヴォア邸に行きたいと希望を出したのだけど、これも同じくNGで。
なのでせめてということで組み込んだのが、今日の午後の人類博物館と建築・文化財博物館です。朝のサントシャペルとコンシェルジュリー、午前中のギメといい、本当に今日が私のハイライト💖
まずはエッフェル塔とトロカデロ庭園を望むミュージアムカフェへ。ランチするほどお腹空いていなかったのでアイスカフェラテで小休止。眺めのいい窓辺のハイチェア席とテーブル席があり、サンドイッチやピザ、サラダ、焼菓子などの軽⾷とドリンクを販売しています。
コンディションを整えて観覧スタート。おそらく私がじっくり見過ぎて皆さんと終了時間がズレるであろうということで一旦解散したので、もう好きに見ます!
人類博物館は、人類の進化と多様性を研究・展示する「実験室付き博物館」という革新的なコンセプトに基づき、1938年に設立されました。現在は、フランス国立自然史博物館群に所属し、先史学、生物人類学、文化人類学の研究・教育センターとしての役割を担っており、所属研究者は150人以上もいるんだとか。
その起源は、1878年のパリ万国博覧会の際にトロカデロ宮殿内に設立された、民族学的・考古学的な遺物を展示するトロカデロ民族誌博物館(Musée d'Ethnographie du Trocadéro)に遡ります。資金不足や関心の低迷といった課題のなかで、1928年にアメリカの人類学者ポール・リヴェ(Paul Rivet)が館長に就任すると、大学教育・博物館、研究実験室、図書館を一つに統合した多分野にわたる研究機関とするという構想を打ち立て、刷新に着手。1937年のパリ万国博覧会に向けたトロカデロ宮殿改築の際に、新たな博物館が設置されることが決定し、翌38年に、人類博物館として正式に開館しました。
その後、2009年から2015年にかけて大規模な改装が行われ、2015年10月にリニューアルオープンしてからは、「私たちは誰か、どこから来たのか、どこへ行くのか」という3つの主要な問いをテーマに、人類の起源から未来までを探求する現代的でインタラクティブな展示を行なっています。

1階の常設展示「人類のギャラリー」は、様々な言語での「ようこそ」が映されたパネルにはじまり、19-20世紀にヨーロッパに連れてこられた様々な人種の頭部模型、引っ張ると色々な国の言葉を話す舌など、多様な民族とその違いについて学ぶコーナーや、人体についての解説など約1,800点を展示。
事前情報通り、キャプションがフランス語しかないため、翻訳アプリで訳しながら見るのはなかなか大変でしたが、なんとなくの推察は可能。

ちょうど小学生が校外学習で解説を受けていたコーナーは「人は男、女に生まれるのではなく、男、女になるのだ」とキャプションがあって、性とジェンダーの違いを紹介しており、この年代からジェンダーについて学ぶところに日本との違いを感じました(説明読むまでこのコーナーが何を意味しているのか全然わからなくて、ああ、ジェンダーについてのコーナーね、と思える素地が自分の中にないことにも気付かされました)。
標本や人体の表現物(骨格、頭蓋骨、解剖学的蝋人形など)のコーナーも独特で、まずポーズをとっているところが斬新。皮を一枚剥いだ感をあえて出しているのも、日本じゃ見ないなぁ。怖がったり、猟奇的興味を抱いちゃったりしないんだろうか。
ゾウの内臓が出ちゃっているのとかも衝撃的で、先史時代にどうやってゾウを食べていたかを表す展示なのですが、何が起きちゃったの?と焦りました(遠足の幼稚園児たちはガン見していました)。
中二階は先史時代のアート要素のある遺物の紹介。一番の目玉である、旧石器時代のレスピューグのヴィーナスやカヴィヨンの貴婦人を筆頭に、様々な土偶・石偶、石器、人骨などの遺物のほか、炉跡の立体復元模型などを展示しています。
フランスといえばラスコーやショーヴェの洞窟壁画が有名ですが、ヨーロッパだけでなく、アフリカ・オセアニア・アメリカ大陸の遺跡などのパネル展示も通して、「人類表現の多様性」を紹介しています。色々な人たちが、様々な場所で、各々にモノを作り、歴史を紡いできたことがわかります。
2階は農業と牧畜が始まってからの人類の生活のコーナーになり、世界各地の生活様式を示す遺物などを展示(モンゴルの家屋ゲルの模型なども)し、最後は人類の未来を問う内容でけっこう唐突に終了。

そして、もう一つ楽しみにしていたのが、2階の特別展示室。視察直前の11/19から始まった、ミイラ展です(追加料金なし)。さまざまな国・時代における「内臓の処理をして乾燥させることで遺体を保つ」という広義のミイラが集結しており、見応えがありました。
ミイラそのものは撮影禁止なのでご紹介できないですが、日本ではミイラというとエジプトのものしか目にすることがないため、結構衝撃を受けるビジュアルもありました。 パネルなどのイラストをライトにわかりやすいものにすることで興味を失わせず、遺体を保つための様々な技術と葬儀の多様性を学べて、非常に興味深かったです。ちなみにミイラの匂いが嗅げる展示もあったのですが、私は勇気がなくて試せませんでした(だって、もしも、もしもな匂いで、えづいちゃったりしたら困るじゃないですか汗)。
これは写真での紹介。ミイラ化させて着飾ってみんなでお祝いするインドネシア・トラジャ族の葬儀の様子と、シチリア・パレルモのカタコンベ(共同墓地)の様子。
日本でもこういう展覧会、やってほしいなと思いました。子供向けパンフレットが秀逸で、クイズを交えて楽しく勉強できる副教材になっているのもよかったです。毎回、特別展ごとにこのクオリティなのだとしたらホントすごい。

そしてそして……。買う気満々で向かったミュージアムショップもこれまた私の期待に応えてくれる素敵なお店でした。個性的な収蔵品をうまく商材に落とし込んでおり「思い出を形にして持ち帰る」が、私が訪れた視察先の中では、一番よく現れていたショップ。
骸骨や石器、土器などをモチーフにしたトートやノート、鉛筆などのオリジナルグッズ、フランス国⽴⾃然史博物館群のロゴマーク商品、骸骨モチーフのマグネットやしおり、アフリカンプリントのアクセサリーやバッグもありましたし、動物のぬいぐるみやフィギュア、子供向けカードゲームや立体パズル、絵本などもありました。図録・書籍も他のフランスのショップ寄りは少なめで、馴染みのある商品配分感。
日本の行き慣れた博物館ショップと比べても、デザイン的にもラインナップ的にも近く、なんだろうこれ?とか、全然欲しいものない、と思うことなく、いつも通りの感覚で財布の紐が緩みました。
持ち手が長短2種類ついているトートバッグは色違いで購入。石器ネックレスと、骸骨フェイスの時計も買っちゃいました。遺跡探訪の正装用に(笑)使います。
なお、Môm'Art (モマール) というフランスの協会に属しており、美術館や文化施設が家族連れや子どもたちにとってより親しみやすい場所になることを目指す10の憲章に署名している博物館でした。オルセー、オランジュリー、建築・⽂化財、ケ・ブランリ、ポンピドゥ、ピカソなど250館以上が署名しているんですが、この署名館は「小さな訪問者の10の権利」に加入するんですが、これが素晴らしい。
Môm'Art
例えば、欲求を閉じる権利。怖いもの、見たくないものがあったら、目を閉じて通り過ぎていい。==「ちゃんと見なさい!」って怒られない。
それから模倣する権利。全ての芸術はコピーから!自由にスケッチしてもいいし、キャラクターになりきってもいい。==お絵描きばっかりしてないで!とか、ずっと彫刻のポーズを真似していても怒られない。
印象を共有する権利というのもありました。評論家やガイドだけが発言権を持っているわけではない。感じたことを間違ってもいいから話していいし、逆に何も言わない権利もある。==急に「おっきいねー」とか喋り出して「しー、静かにしなさい!」って怒られないし、どう思ったのか感想を言いなさい!と強要されることもない。

怒られないし、窮屈じゃないミュージアムで自由に学ぶ幼少期を経て、学校の課題でも度々訪れて、生活の中にミュージアムがあることが当たり前になる。多くのミュージアムが⼦供達に寛容なことも、また⼦供達が場慣れしているように見えることも、こうした枠組みの中で育つからなんだなぁと納得。そりゃあ嫌いにならないよなぁと思いました。
そして小さい子だけじゃなくて、ティーンエイジャー用のサバイバルガイドもあるんです。フランスだって思春期に入った子供がミュージアムから離れる現象はやっぱりあるんでしょうね。でも押し付けがましくなく、ミュージアムを舞台に青春の一コマが過ごせるような提案があって、工夫しているなぁって思います。
いま、どこの施設も若い人に来て欲しいと言うけれど、つまり子供の時からミュージアムに親しんでいるかどうかなのではないかと思いました。でも今の若い人が急に来るかと言うとそりゃむずかしいわけで。。。国や県レベルで長く取り組んで、子供の時から親しんでもらい、その人たちが親になった時に初めて子供を自発的に連れて行こうと思い、強要しないミュージアムとの付き合い方を子供に示してくれるようになるのかなぁと。なんて、素人ながら考えさせられました。 訪問日時:2025年11月24日(月) 13時40分訪問



















































































