地底の森ミュージアム|富沢遺跡(宮城県仙台市)
- koukobiyori
- 2011年7月30日
- 読了時間: 3分
更新日:5月17日
私の大好きな博物館のひとつが、仙台市にあります。
仙台駅から地下鉄で6駅、長町南駅のちかくにある「地底の森ミュージアム」です。先の震災の影響でしばらく休館していましたが、無事2011年6月14日に再オープンしました。

博物館は、富沢遺跡という遺跡をそのまま保存展示した施設になっています。1987年に小学校を建設するために事前調査を行ったところ、旧石器時代の森林と湿地帯、そこに生きたシカの糞、またそのシカを追いかけて狩りにやってきた人のたき火や石器を作ったあとが見つかりました。
こうして旧石器時代の環境がわかる森と、動植物や人の痕跡がセットで見つかるのはとても珍しく、遺跡をそのまま保存展示することになったのです。小学校建設という限られた敷地の中によくこんな貴重な痕跡が見つかったものです。まさに偶然の奇跡です。
地下の展示室は50m×16mのスケートリンクのような楕円の保存施設で、地下水の浸入を防ぐために厚さ80センチの外壁を地下20メートルまで埋め込んであります。今でも水の多い土地だからこそ、古代の木などがパックされて残ったんですね。出土した遺物にはポリシロキサンという薬品をしみ込ませて、劣化しないようにしています。地を這うようにうねった木の根とたおれた幹が出土した様子がよくわかります。シカの糞もコロコロとしていて、奈良公園で見るものと違いません。旧石器時代の遺跡をこういう形で展示しているのは世界でもここだけというから、いかに貴重かがわかります。

展示室は20分間隔で照明が落とされ、氷河期のある1日の様子が、映像で流されます。3人の男が鹿を求めて狩りにやってきて、ここで一晩夜営をします。たき火をおこし、干し肉を食べ、石器の手入れをして過ごす様子が描かれています。それがなんともリアルで、遠い昔の旧石器人たちがどんな風に暮らしていたのか、すごく身近に感じることができるのです。この映像、何度見ても飽きないんですよねー。頭の中で旧石器時代ってこんな感じかなぁと想像していた絵が具体化されていて、初めて見たときは感動しました。

ちなみに当時は氷河期で、仙台は今の北海道北部ぐらいの気候だったと考えられています。このあたり一帯は、針葉樹の湿地帯でした。出土した木はトミザワトウヒという絶滅種の針葉樹がほとんどで、それにわずかな広葉樹が混ざっていました。博物館の外庭にはこの氷河期の森が復原されていて、トミザワトウヒによく似たアカエゾマツやグイマツなどの木々が移植されています。

発見されたたき火の跡からは、たき火を囲んで作った石器の破片の散らばりから、人々の座った位置やその日の風向きなどを推察することができます。考古学ってこんなに細かなことまでわかるんです。おもしろいですよね。他には植物や昆虫の化石も発見されています。こうした出土遺物や研究成果は、1階の展示室に紹介されています。
遺跡が出土したそのままの姿で展示され、氷河期の世界を目の当たりにできる地底の森ミュージアム。他の博物館とはひと味違いますよ! 仙台観光の折にはぜひ足を運んでみてくださいね。
元記事 :「古代女(こだじょ)の旅時間」
アップ日:2011年7月30日


